最近、教員の労働環境の過酷さがクローズアップされています。実際にわたしの経験からも言えるのは、とにかく先生の業務が多すぎます。
10年以上小学校教員として働いてきた経験からも、先生の多忙さやハードさはよく分かります。
一方で、子どもの成長に関わる仕事へのやりがいがあり、公務員という安定した立場に魅力があるのも事実です。
わたしは2023年度からは非常勤講師として小学校で働き、副業をしながら子育てもこなしています。
その結果、現在はストレスフリーな毎日を過ごせています。
この記事では、わたしが非常勤講師という働き方を選んだ理由や、フルタイムの教員との働き方の違いについて解説します。
- 教員として働いているが、今のままの働き方でいいのか悩んでいる
- 夫婦共働き+子育てで疲れ切っている
- 教師に興味はあるが、いきなりフルタイムで働くのは不安だ
そんな悩みをかかえている人は、この記事を何かのヒントにしてください。
非常勤講師(会計年度任用職員)とは
非常勤講師は名前の通り、常にフルタイムで働くわけではありません。「週に何時間働くか」や「1日何時間働くか」は決まっていない場合が多いです。
勤務時間は1時間単位で、1時間の中に「授業時間と準備や評価の時間が含まれる」場合がほとんどです。
「非常勤講師」は正式には「会計年度任用職員」と呼ばれますが、ここではイメージのしやすい「非常勤講師」の呼び方で進めます。
会計年度任用職員とは、地方公務員法の改正に伴い令和2年度から新たに設けられた非常勤職員の制度です。会計年度任用職員制度の導入により、これまでの嘱託職員及び臨時職員などの非常勤職員は会計年度任用職員へと移行となりました。
非常勤講師+副業という働き方を選んだ理由
わたしが安定した公務員の身分を捨て、非常勤講師を選んだ理由は大きく3つあります。
子育て中のわたしには、時間に余裕ができることが最大のポイントでした。
また、家族を持つ身としては常勤講師に戻るという選択肢があるのも重要です。
非常勤講師は時間に余裕ができる
1つ目の理由は、非常勤講師になると時間の余裕ができるからです。
最近よく話題にも上がりますが、フルタイムで働く先生はめちゃくちゃ忙しいです。
下の表にもあるように、メインの授業以外に担当する業務の範囲が膨大なことが1番の原因でしょう。
フルタイムの教員 | 非常勤講師 |
---|---|
授業 評価 教材研究 生活指導 保護者対応 校務分掌 事務仕事 学校行事 校内研修 | 授業 評価 教材研究 生活指導 |
フルタイムと非常勤では、担当する業務の幅にかなりの差があることが分かると思います。
学校の業務だけでも大変ですが、さらに子育てや親の介護といった家庭状況もプラスされると恐ろしいことになります。
実際にわたしも、妻が育休から仕事に復帰したことで、お互いにストレスを感じる場面が増えました。
ですが、非常勤講師の場合は……
- 仕事内容は授業とそれに関わる準備や評価のみ
- 校務分掌や保護者対応はない
- 週に働く時間は20時間以内が多い
余計な業務はほとんどなくなり、時間に追われることもまずありません。
もちろん、安定した地位や給料が犠牲になるのは事実です。
ですが、時間に追われて子どもにイライラしてしまったり、夫婦間でギスギスしてしまったりすることはほとんど無くなりました。
家庭の平和が一番ですね。
非常勤講師は副業が可能
2つ目の理由は、非常勤講師は公務員にも関わらず副業が可能だからです。
公務員はサラリーマンと違って法律で副業が禁止されています。許可を得れば認められる副業もありますが、基本的にはできないと思ってください。
ですが、非常勤講師は副業が可能です。(自治体によっては届出が必要)
空いた時間を自分のやりたい副業や仕事にあてることができます。
他の仕事で収入を補えますし、事業がうまくいけばフルタイムの教員以上に稼げるかもしれません。
いざという時は常勤講師としてすぐに勤務可能
最後の理由は、今の学校の状況を考えると常勤講師としてすぐに勤務可能だからです。
現実問題として、非常勤講師の収入だけでは生活が苦しくなったり、家族の理解が得られなくなったりするリスクはあります。
ですが、いざという時は常勤講師としての勤務に切り替えれば、日々の生活には困らない程度の収入は確保できます。
リスク管理の面で見逃せないポイントではないでしょうか。
わたしが妻を説得する材料にもなりました。
非常勤講師とフルタイムの教員との働き方のちがい
では、非常勤講師とフルタイムの教員では働き方にどんな違いがあるのでしょうか。
常勤の講師の場合、働き方はほとんど変わりません。担任を持つ場合もありますし、校務分掌の担当もあります。
ですが、非常勤講師の働き方は大きく違います。
勤務の体系や担当する仕事の範囲に大きな違いがあり、勤務時間も人それぞれです。
非常勤講師は時間給や日給で働く
非常勤講師はフルタイムの教員とは違い、1時間当たりや1日当たりの報酬で働きます。
自治体によって差はありますが、時間給で2,500円から3,000円前後が多いです。
時間給なので勤務がないと報酬はなく、夏休みや冬休みがあると収入は減ってしまいます。
公務員よりもアルバイトやパートに近いイメージですね。
詳しい自治体ごとの勤務条件は非常勤講師の待遇比較まとめを参考にしてください。
非常勤講師が担当する仕事は、授業とそれに伴う業務のみ
非常勤講師はほとんどの場合、授業とそれに伴う業務にしか関わりません。
職種によっては授業以外の業務もありますが、あらかじめ業務の内容は決まっています。
フルタイムの先生の異常な業務範囲を思えば、とても助かります。
ただし準備や評価も含めて1時間ごとの報酬なので、それ以上に時間がかかっても報酬に変わりはありません。
非常勤講師は働く時間を相談して決められる
フルタイムの先生は週5日勤務で、1日当たり7時間45分となっている場合が多いです。(形だけの休憩時間が45分あります)
一方でほとんどの非常勤講師は、1日に働く時間や週に何日働くかは決められていません。
自治体によっては「週○時間程度」となっている場合もありますが、多くの自治体では「○時間以内」と上限が決まっているだけです。
実際は勤務する学校や教育委員会との打ち合わせで条件を話し合う形になるので、希望通りにならない場合もあります。
まとめ:教員に疲れた人には非常勤講師がおすすめ
フルタイムの教員の働き方に限界を感じている人には、非常勤講師がおすすめです。
非常勤講師を選んだ理由
・時間に余裕ができる
・副業が可能
・常勤講師としてすぐに勤務可能
特に子育てと仕事の両立に限界を感じている人は、1度ゆっくり考える時間を作ってみるのをおすすめします。
「育休の代わりに非常勤講師」という考えもありかなと個人的には思っています。
非常勤講師でゆっくりしてから常勤講師を目指すのも良いですし、非常勤講師を続けながら他の興味のある仕事や勉強に打ち込むのも良いのではないでしょうか。
1度きりの人生なので後悔しない時間の使い方をしましょう!